年齢を重ねるごとに、私たちの体は変化します。特に50代以降の女性にとって、夜中に何度も目が覚めるのは一般的な現象となります。これはただの睡眠問題ではなく、身体の自然な変化の一部です。

今起きていることを受け止め、どうすることで目が覚めることに対してのストレスやしんどさを軽減していけるのかについてまとめました。

更年期における睡眠の変化とその原因

更年期は、体内のエストロゲンレベルが減少し、それが睡眠パターンに影響を及ぼす時期です。

エストロゲンは睡眠の深度を調整し、夜間の覚醒を抑制する役割を持っていますが、このホルモンの減少により、睡眠が浅くなり、小さな刺激にも反応しやすくなります。これを理解することは、睡眠の質を向上させる第一歩です。

ホルモンバランスの変化と睡眠の関係についてわかりやす意図感じたものを引用で紹介します。

女性ホルモンが睡眠におよぼす影響

 女性ホルモンとは、妊娠・出産など女性特有の機能を整えるホルモンの総称です。代表的な女性ホルモンに、妊娠の維持の役割を担うプロゲステロンと妊娠の準備の役割を担うエストロゲンがあります。それぞれのホルモン作用の中で、特に睡眠と関係の深いものとして、プロゲステロンの体温上昇作用、鎮静作用と呼吸促進作用、エストロゲンの覚醒作用が挙げられます。なお、プロゲステロンの体温上昇作用は、次のようなメカニズムで睡眠に影響するといわれています。

 体の内部の温度である深部体温は、睡眠と深く関係しています。深部体温が高いと体は活発になり、逆に低いと眠りやすくなることが知られています。一般的に、深部体温は朝方が最も低く、活発になる時間帯と関連して上昇し、休息を必要とする夜間に低下するというリズムがあります。体温上昇作用のあるプロゲステロンの血中濃度が高いと深部体温の低下が起こりにくくなり、深部体温リズムのメリハリがつきにくくなると考えらえています。すなわち、血中プロゲステロン濃度が高くなる時期は、深部体温リズムの変化を介して睡眠と覚醒のメリハリがつきにくくなると考えられています(図1)。

図1 プロゲステロンの体温上昇作用と睡眠
国立精神・神経医療研究センタ「2021年度市民公開講座~女性特有の睡眠の悩み~①」より(https://www.ncnp.go.jp/hospital/guide/sleep-column19.html

寝た感よりも睡眠の質が重要

朝までぐっすり眠れると、満足感や充実感を得ることができますが、大人の睡眠にとって寝た感と睡眠の質は一致していないことがあります。

大切なのは睡眠の役割を正しく理解し、睡眠中の役割を果たせているかどうかに意識を持っていくことです。

睡眠中の役割は

  • 脳内のゴミを取り除き、記憶の整理をする
  • 疲労回復を早めアンチエイジングを促す
  • 免疫力を向上させる
  • 自律神経のバランスを整える
  • 食欲を調節し、肥満を予防する

(出典:豊橋ハートセンター)

です。

厚生労働省がまとめている健康づくりのための睡眠指針を見ても、世代によっての睡眠の違いが表現されています。

健康づくりのための睡眠指針2014

  • 【第1条】良い睡眠で、からだもこころも健康に。
  • 【第2条】適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
  • 【第3条】良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
  • 【第4条】睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
  • 【第5条】年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
  • 【第6条】良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
  • 【第7条】若年世代は夜更かしを避けて、体内時計のリズムを保つ
  • 【第8条】勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
  • 【第9条】熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
  • 【第10条】眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
  • 【第11条】いつもと違う睡眠には、要注意。
  • 【第12条】眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針の改定に関する検討会」報告 平成26年3月「健康づくりのための睡眠指針2014」より https://www.mhlw.go.jp/content/001208251.pdf

回復力を高める寝る前のルーチンと翌朝の過ごし方

夜中に目が覚めても良質な回復を得るために、以下の3つの寝る前のルーチンをお勧めします。これらの方法は、体の緊張を緩め、五大元素のバランスを整えるのに役立ちます。

デジタルデトックス

寝る1時間前には、全ての電子機器を遠ざけます。ブルーライトは脳を覚醒させるため、睡眠の質を損ないます。つい眠れないから、眠くなるまでとスマホを眺めてしまいがちですが、眠る前から電子機器を切り離す感覚を持つことはとても大切です。

寝る前の書く瞑想

一日の終わりに感謝の気持ちやその日の出来事を紙に書き出すことで、心を落ち着かせます。これにより、心のデトックスが行われ、睡眠へと導かれます。

布団に入るとあれこれ考えてしまう、気になって眠れなくなってしまう、目が覚めた時に猛烈にいろんなことが頭に巡ってくる状態を軽減できます。出し尽くしておくことですぐに浮かばない状態を作っておくことで、眠りの質を高められます。

軽い足裏マッサージ

体の柔軟性を保つために、寝る前に簡単なストレッチやマッサージを行います。これは血流を改善し、リラックス効果を高めます。特に足の裏を刺激すると良いでしょう。

その理由は

・リラクゼーション効果
・血行促進
・エネルギーの流れをアップ
・ストレスと不安の軽減

があげられます。

簡単な方法として、手のひらや指を使って足の裏全体を優しく押し圧を加えます。特に、かかとや足のアーチ、つま先周辺を念入りにマッサージします。

心地よい力加減を意識しながら3〜5分行いましょう。

翌朝の過ごし方

激しいアラーム音で目覚めるのを避ける

朝の自然な光や優しい音色のアラームで覚醒するようにします。突然激しい目覚ましの音を聴くと、自律神経系を乱すもととなります。

激しいを音は体を驚かせて緊張させてしまうので、動き出しが悪くなり寝起きの印象や対感覚を悪化させてしまうことにつながります。

体は急激な変化が苦手なので、徐々に起きていくための工夫を取り入れることがおすすめです。

(出典:豊橋ハートセンター https://www.heart-center.or.jp/rehabnow/4079/)

よくある質問とその答え

Q: 夜中に目が覚めた時にはどうしたらいいですか?

A: 夜中に目が覚めてしまった時は、パニックにならずに落ち着いてください。まずは深呼吸をして、リラックスを試みることが大切です。瞑想や軽いストレッチを行うと、再び睡眠につきやすくなる場合があります。また、ベッドの環境を見直し、暗さや静けさを確保することも助けになります。

感情が動き出すと眠りにくい状態になりやすいので、体を休めているんだというところに意識を持っていき穏やかな心を保つことも大切です。

Q: ほかに睡眠の質を向上させるためにできることは?

A: 睡眠の質を向上させるためには、次のようなことを心がけると良いでしょう:

  • 規則正しい睡眠時間の確保
  • 寝室の環境改善(暗く、静かで、涼しい環境を保つ)
  • カフェインやアルコールの摂取を避ける
  • ストレス管理(瞑想や適度な運動による)

体の日中の状態や現状が睡眠と強くつながってくるので、寝る前だけに何かというよりも一日を通して体が心地良く過ごせるようなバランスが保てるような緩急をつけることが重要です。

日中の活動とのバランス

日中活動的であることは、夜間の睡眠の質を向上させる鍵となります。適度な身体活動は、ストレスの軽減、心身の健康維持、そして夜間の深い睡眠へと導く体内リズムの調整に寄与します。

具体的な活動提案

  1. 軽い運動を取り入れる
    • 日中に少なくとも30分の軽い運動を心掛けましょう。ウォーキング、ストレッチ、軽いヨガ、水泳などがおすすめです。これらの運動は体の柔軟性を保ち、ストレスを軽減し、夜間の睡眠の質を向上させる効果があります。
  2. 趣味の時間を設ける
    • 趣味や楽しい活動は精神的な健康にも良い影響を与えます。絵を描く、庭いじり、音楽を聴く、手芸など、心から楽しめる活動を日常に取り入れることで、心のリラクゼーションを促し、夜間の睡眠の質が向上します。
  3. 社会的な交流を持つ
    • 友人や家族との定期的な会合は、社会的なつながりを保ち、孤独感を減少させます。コミュニティのイベントに参加するか、友人とランチを楽しむことで、心の充足感を得ることができます。
  4. 昼間の短い昼寝を利用する
    • 疲れを感じた時には、10分から20分程度の短い昼寝を取ることで、エネルギーを回復させることができます。ただし、長時間の昼寝は夜の睡眠に影響を及ぼす可能性があるため、時間を守ることが重要です。
  5. 定時に終わる仕事を心掛ける
    • 仕事とプライベートの時間のバランスを適切に取ることが、ストレスレベルを管理し、夜間の睡眠の質を保つためには必要です。可能な限り、定時で仕事を終え、リラクゼーションの時間を確保するようにしましょう。

全ては無理かもしれませんが、面倒だ・手間がかかる・それよりも大切なことがあると自分を後回しにせずに、できることはないかという視野を忘れないようにしましょう。

ここに挙げたのはあくまでも例ですし、ここに何が最良なのかは変わってきます。睡眠の質をあげていくために体に意識を持っていく、体を整えていくという心構えも大切です。

どうしてもうまく睡眠の質が上がらない時は

夜間に目が覚めることをストレスの源としないことが、質の高い生活を送るための鍵です。

体の声に耳を傾け、自然なリズムを尊重することで、夜間の目覚めを受け入れながらも、日中は活動的で充実した時間を過ごすことができるようになっていきます。

この記事で紹介した方法を試してみてください。そして、自分自身の体とのより良い関係を築くことで、睡眠の質だけでなく、全体的な生活の質も向上させることができるでしょう。

ただ、何をしてもどうしてもうまく眠れず、体の疲れがしんどさにつながってしまっている時は日中頑張ることが辛く、よりストレスが溜まり眠りにくい体になっていってしまいます。

そんな時は寝ている間に体の緊張を緩め、回復力を引き上げるサポートもうまく活用することで、睡眠に対する不安やストレス、日中のしんどさと辛さを軽減していくことができますので、活用してみてはいかがですか?

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